结局

结局

ダニエルが言う。
「終わったな…。」
だが、Aya には不思議に思っていることがあった。
どうして、自分にだけこんな力があったのか…。
前田が答える。
「Aya さんの中にも… Maya さんがいたからですよ。」
Aya の姉、つまり Maya と母親が事故にあって亡くなったとき、生まれつき右目の視力が弱かった Aya に、Maya の角膜が移植されていたらしい。
強烈な体験をした場合、その時見ていた光景が角膜に焼きつくという説もあるらしい。
つまり、Eve と接触したときに見た映像は…Maya の最後の角膜の記憶と言うわけだ。
前田は続ける。
「Aya さんの体内に入った Maya のミトコンドリアですが…おそらく、Eve とは違った進化を遂げたんじゃないんですか?
Aya さんのミトコンドリアと共存することで… Eve と同等の力を持ちながら… 我々人間の核と共棲するという進化を…。」
「…日本から始まったこのミトコンドリア事件は、我々人間に対する淘汰なんでしょうか…。
仮に、地球を一個の人間とするならば我々人間というウィルスが増えすぎ…猛威をふるっているに等しいのではないでしょうか。地球という人間の体内のバランスをくずしてしまうほどに…。」
ダニエルがつぶやいた。
「俺達、人間は…そんなに愚かなのかな…。」
前田がそれに続ける。
「しょせんは我々、人間も…地球に寄生しているパラサイトにすぎないのかも知れませんね…。」
そして、数日後。Aya 達は、クリスマス?イヴのやりなおしにカーネギーホールにオペラを見に来ていた。
中に入って、開演を待っていると、前田がそわそわして落ち着かない。
「あ、明日、日本に帰るのでお、思いきって言いますけどね…」
ここで、トイレに言っていたベンとダニエルが帰ってきた。何も言えず、頭を抱える前田。
そんな中、オペラが始まった。オペラの内容は、クリスマス?イヴと同じ内容だった。上演の途中で火が出てくるときには、思わず3人とも立ち上がってしまったが、別に何事もなく話は進んでいく。ほっとして、席に座るが、会場内は、異様な雰囲気に包まれていった…。
Aya の中で、共存していたはずのミトコンドリが暴れはじめたのだ。ダニエルと前田の目が赤く光る。そして、Aya は静かに立ち上がった…。会場中は、赤い光を目にたたえた観客で一杯になった…。

END

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